在日ブラジル商工会議所は、毎月会員の皆様あてにニュースレターをお届けしております。今月のニュースレターでは、野村證券株式会社デット・キャピタル・マーケット担当顧問の臼山秀遠氏に、野村證券とブラジルの深い繋がりについて寄稿していただきました。
野村とブラジル
野村證券株式会社
デット・キャピタル・マーケット担当 顧問
臼山 秀遠
野村グループとブラジルとのつながりは古く、大正末期に遡ります。野村證券創業者の野村徳七(1878-1945年)は、野村證券株式会社を設立した翌年の1926年(大正15年)、ブラジル・パラナ州において野村農場(コーヒー園)の経営を開始しました。野村農場は、日系企業のブラジル進出第1号となり、その後90年以上経った今でも続いています。
野村徳七は、当初から海外への事業展開を目指していましたが、ことブラジル事業においては、利益を追求するのみではなく、資本家として事業投資を行いました。農場経営においては、当時過酷な労働に苦しんでいた日本人移民を受け入れ、安定した労働条件と生活環境を提供するとともに、子弟の育成にも貢献しました。野村徳七は、現代にもつながるソーシャル・インベスターでもありました。
野村證券は、この創業の精神を受け継ぎ、1973年にブラジルの投資銀行「バンコ・ボザノ・シモンセン・デ・インベスティメント S.A.」の株式を取得し、1975年にはミナス・ジェライス州アラシャ市郊外に「野村農業牧畜研究所(ノムラブラス)」を設立する等、積極的にブラジルでの事業に取り組みました。その後、1982年に開設されたサンパウロ駐在員事務所において、現在もブラジルにおける様々な活動に取り組んでいます。
近年、ブラジルにおける野村證券のビジネスは多角化しています。2000年代初頭には、ブラジル政府や政府系機関のサムライ債発行を通じて資金調達のサポートを積極的に行っていました。その後、アルゼンチン危機等もあり、一時期日本の投資家の南米クレジットに対する見方が厳しくなる時期もありましたが、足許では日本のリテール投資家へのレアル建て売出外債やレアル建て投資信託の販売等で、継続的に日本とブラジルの橋渡しを行うとともに、ブラジルの豊かな潜在成長性への投資機会を日本の投資家向けに提供しています。
また、投資銀行業務においても、日本企業とブラジル企業の合弁による資源関連プロジェクトに対するFA(Financial Advisory)や、外国企業によるブラジルのインフラ分野でのクロスボーダーM&Aに対する資産評価助言等のビジネスを展開しています。
このように、野村證券は、豊富な資源や懐の深い市場を有し、日本ともつながりの深いブラジルにおいて、今後とも長期的な視野に立ち、企業と投資家を橋渡しする金融ビジネスに積極的に取り組んでまいります。