在日ブラジル商工会議所は、毎月会員の皆様あてにニュースレターをお届けしております。5月号では、大竹富江文化センター長のリカルド・オオタケ氏に、CCBJアワード・パーソン・オブ・ザ・イヤーのトロフィー制作などについてご寄稿いただきました。CCBJアワード・パーソン・オブ・ザ・イヤーの受賞者には、造形作家大竹富江氏のデザインによるトロフィーが贈られます。
アートがつなぐブラジルと日本
大竹富江文化センター長
リカルド・オオタケ氏
在日ブラジル商工会議所は、ブラジル国内での認知度はそれほど高くないものの、経済活動にとどまらず日本とブラジルの関係を深める上で重要な意味を持つ様々な活動を展開している。
グアルーリョス国際空港の広場に設置された大竹富江の彫刻は、日本人のブラジル移民100周年を記念して制作され、サンパウロの日系人コミュニティから寄贈された。富江は作品を空港に設置することを提案し、日本とブラジルを結ぶ地球一周の旅を表したデザインとなった。かつては船で45日もかかっていた両国間の旅が100年後には1日足らずで実現するようになったことから、空中に浮かぶフォルムのアイデアが生まれた。
重さ17トンのこの彫刻は鋼鉄製で、内部と外部の構造はボイラーを使って同時に作られた。運搬のため分割後、再度溶接し自動車用塗料で再塗装した。
この作品の縮小版は、日伯間の交流に貢献した人物に贈られるCCBJアワードのトロフィーとして使われている。
トロフィー制作を仲介した大竹富江文化センターは、サンパウロのピニェイロス地区にあり、視覚芸術をはじめとする様々な芸術様式の展覧会を開催している。20年間の活動で、日本人アーティストや建築家、映画監督、デザイナーら約10名の展覧会も含め、これまでに約300の展覧会を開催している。
大竹富江文化センターの建物は、ブラジルでも有数の生産性と質の高さで知られる建築家であり、駐日ブラジル大使館や大使公邸も手がけた、ルイ・オオタケが設計し、2023年には完成から40周年を迎える。
CCBJの活動は、ブラジルと日本の強い結びつきを象徴するものだ。