在日ブラジル商工会議所は、毎月会員の皆様あてにニュースレターをお届けしております。4月号には、弁護士でCCBJ会員でもある二宮正人教授にキョウダイ·レミッタンスが行ったインタビューが掲載されています。二宮氏は日本政府から瑞宝中綬章を受賞されました。
二宮正人教授が瑞宝中綬章を受章
法学博士で弁護士の二宮正人教授に、日本政府から瑞宝中綬章が授与されました。コロナ禍の影響で3年遅れの開催となった授賞式は、今年2月8日に帝国ホテルで行われました。当日は日本の政界、学界、財界の著名人、外交官、日系人社会代表者ら350名を超える出席者が集まりました。
1948年11月17日に長野県上田市で生まれた二宮氏は、5歳の時に家族とともにブラジルに渡りました。ブラジルで教育を受け、1971年にサンパウロ大学法学部を卒業。卒業後は奨学金を得て東京大学に留学し、10年かけて修士号(1976年)と博士号(1981年)を取得しました。
二宮氏は3月23日にキョウダイ・レミッタンスが行ったインタビュー取材に応じ、今回の受賞について次のように語りました。
キョウダイ:勲章受賞者はどのように選ばれるのでしょうか?
二宮氏:この賞の受賞に相応しい方たちは大勢いますが、日本政府がその人たちの業績をどう評価するかがポイントになります。日本には内閣府賞勲局という部局があり、そこで投票が行われます。各候補者の活躍ぶりを近くで見ている大使館や領事館は、あくまでも推薦者としての立場にあり、選考には介入していません。
通常は政府関係者や著名人が上位の叙勲を受けることが多く、瑞宝大綬章は、東京大学総長や駐米日本大使などに贈られています。日系人として最高位の勲章を受賞したのは連邦高等司法裁判所元判事の上田正美氏で、瑞宝重光章を受賞されています。それ相応の功績がなければ叙勲対象にはならないということです。
キョウダイ:授賞式には、日本の学会関係者、外交官、政治家、実業家、在日ブラジル人コミュニティの代表者も出席していました。
二宮氏:林芳正外務大臣、小池百合子東京都知事、小渕優子衆議院議員をはじめ、ブラジル側からは駐日ブラジル大使館関係者やギリェルメ・パトリオタ在東京ブラジル総領事、在日ブラジル商工会議所の村永裕二氏、斉藤俊男氏、茂木真二氏、武蔵大学のアンジェロ・イシ教授が出席されました。
キョウダイ:ブラジル政府からもリオ・ブランコ勲章(コメンダドール位)を受賞されましたね。おめでとうございます。
二宮氏:今回で3度目ですが、全て等級も受賞理由も異なります。最初は1989年で、通訳としての業績に対してリオ・ブランコ勲章カヴァレイロ位を授与されました。リオ・ブランコ勲章には5つの等級があり、一番低い等級がカヴァレイロ位です。1999年には大学教授としての業績によりオフィシアル位をいただき、それから20年以上の時を経てCIATEの会長としてコメンダドール位を受賞しました。日系人コミュニティでは大きな反響がありました。通常この勲章は1回しかもらえないものですが、私の場合は受賞理由はそれぞれ異なるとはいえ、今回で3度目の受賞となりました。
キョウダイ:二宮先生は新世代の弁護士を育てるという取り組みも進められています。
二宮氏:そうですね。ただ特別なことをしているわけではなく、学びの源泉を作るというだけです。例えば、私は覚えていなかったのですが、私の教え子だったというブラジル大使館の外交官にお礼を言われたこともありました。これはとても嬉しいことでした。こうしたケースは、少なくありません。教師が全ての教え子のことを覚えているというのは大変ですが、生徒たちは教師のことを覚えていてくれます。そして、そうした教え子たちから先生のおかげで人生が変わったと言われることは、私にとってこの上ない喜びなのです。