CCBJニュースレター

在日ブラジル商工会議所は、毎月会員の皆様あてにニュースレターをお届けしております。11月号では、エツオ・イシカワ弁護士(写真)に各種文書の認証手続きを行う際に利用できるブラジルの認証機関について解説していただきました。

 

日本でも利用可能なったブラジルのICP-Brasil認証サービス

 

弁護士

エツオ・イシカワ氏

 

日本在住のブラジル人は、個人であれ法人であれ、ICP-Brazil電子証明書の発行や各種文書の正規化サービスを行うブラジルの認証機関を利用できるようになっている。ブラジル領事館まで出向かなくとも、ブラジルの規制機関によって保証されたデジタル署名を利用して、本人の立ち会いなしで公証手続きを行うことができる。電子証明書を使えば、パソコンの操作で委任状への署名から署名の承認、会社の設立や廃業、請求書の発行、外国為替契約の締結、銀行口座の開設と利用、電子請求書の発行、不動産の売買、証書の譲渡、動産・不動産の受領・寄贈・譲渡、遺言作成、あらゆる種類の契約の締結などの手続きが、家に居ながら迅速かつ安全に行うことができる。

ICP-Brasil電子証明書を用いて作成された署名は、登記所または領事館で本人が書いた署名と同様の法的効力を持つ。ICPとはInfrastructure of Public Keys(公開鍵基盤)の略で、ICP-Brasilはブラジルにおけるデジタルツールの主要規制機関であり、デジタル認証を司る主要機関となっている。

 ブラジルにおけるデジタル認証の進化

 ブラジルで電子認証の運用が始まった2002年当時、電子認証は会計使用のツールとして捉えられていた。ブラジル初の大規模なデジタル認証の使用例は、連邦国税庁とのやり取りの安全性強化と迅速化を目的としたものだった。

 

 司法でも本格的に導入され、裁判所や弁護士も電子認証を利用するようになった。現在、ブラジルの裁判はデジタル化されており、物理的な文書が使われなくなったことで司法手続きは迅速化された。

 

 その後、請求書の発行にも電子認証が用いられるようになると、請求書の管理が簡略化され、何トンもの書類を保管するスペースが不要となり、そのためのコストは削減され、紙生産に使われる原料が減り、印刷が不要となることで環境負荷の軽減にも大いに貢献することとなった。

 医療分野では、ペーパーレス化や管理コスト削減のため文書管理や医療文書の署名などにICP-Brasil電子証明書はすでに導入されていたが、コロナ禍の中で電子処方箋もICP-Brasil署名付きで発行されるようになった。これにより、遠隔医療や規制医薬品の取得も遠隔で行えるようになった。

 現在、ICP-Brasil電子証明書は法的性格を持つ各種手続きや、可動性、迅速性、簡素化、経済性、持続可能性、収益性などを目的とするあらゆる場面で利用が拡大しており、その全てをここに挙げることは難しいほどだ。

 

 電子署名とICP-Brasilによる署名の違い

 電子署名を提供する「会社」も実際に現れており、そのためにどんな署名も同じだと誤解する利用者の間で混乱が生じるという事態が起きている。

 ブラジルの司法制度で認証された電子署名は複数あるが、法的な価値を持つICP-Brazil電子証明書付きデジタル署名以外のものについては、有効な署名として認められるためには様々な条件が課せられる。

 デジタル認証は、迅速かつ安全に文書にリモート署名するための最も適切な方法であり、法的安全性も保証されている。

 デジタル認証は単なる流行ではなく、ユーザーにとっては、法的問題の解決のために登記所や領事館、あるいはブラジルにまで足を運ぶ必要がなくなるなど様々な恩恵をもたらす現実として普及が進んでいる。

 

 ブラジルのデジタルIDおよび電子文書に関する法律

 ブラジルにおける電子文書の有効性は20018月付の暫定措置令2.200-02 /2001号に基づいており、2020923日付法律14.063号および20201113日付法令第10.543号により補完された。

 出典:Crypto IDの情報をもとに執筆

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