在日ブラジル商工会議所は、会員の皆様あてに毎月ニュースレターをお届けしております。1月号では、CIATE(国外就労者情報援護センター)の会長である弁護士の二宮正人氏に、同センターの33年間の歩みについてご寄稿いただきました。
CIATE 国外就労者情報援護センター設立33年の歩み
CIATE理事長 二宮正人氏
1990年6月に出入国難民管理法が改正され、新たに創設された「定住者」として、かつてラテンアメリカ諸国へ移住した日本人の二世および三世、ならびに非日系人配偶者の方々が日本に就労できるようになりました。その数は法改正の直後でブラジルから約4万人、1991年には約84,000人が訪日しました。最盛時の2007年12月現在で約32万人が滞在していました。ところが、受け入れ側では外国人としての日系人を受け入れる準備ができておらず、また、彼等自身も日本語もできず、日本社会に関する知識もなく、社会適応が困難であったために各地で様々なトラブルが生じました。
日本政府はこれらの問題を解決するため労働省(当時)と外務省から担当官が訪伯して、日系社会に協力を求めました。結果として、ブラジル日本文化福祉協会、県人会連合会、援護協会の日系三団体が協議した結果、日本における公的就労経路確保のため、1992年10月にCIATE国外就労者情報援護センターが設立され、現在まで積極的に活動してきました。
本来は日本における雇用紹介が主たる業務で、名古屋のハローワークである外国人雇用センターから求人情報を得て公開しますが、タイミングの関係や民間業者との競合もあり、CIATEの紹介による就職者の数は少ない状況が続いています。
しかし、CIATEは職業紹介のみならず、訪日者には不可欠の日本語の授業を行い、また、日本における社会保険の加入、法律、風俗習慣等に関する授業や講演を行っています。サンパウロ事務所において応対するのみならず、地方にも出張し、現地の日系団体の協力を得て講演会を開催しています。なお、ブラジルから撤退した企業からの寄付を元手に、日本から帰国してブラジルの大学に進学したブラジル人学生に対して最低賃金1か月分の奨学金を付与し、これまでに30名が大学を卒業しました。
また、1990年代から2000年代初頭には、訪日後10年を経過した社会保険未加入者の問題が顕著化したことにより日伯両政府に善処を要請し、結果として2005年のルーラ大統領初訪日の際に、小泉総理(当時)との首脳会談において日伯社会保障協定の締結が要請されました。その後7年間の交渉中、CIATEは日伯双方における交渉にオブザーバーとして参加し、2012年に同協定が成立して現在に至っています。
過去35年間に訪日し、帰国した日系・非日系訪日者は約70万人に上るものと推測されますが、リーマンショックやコロナ禍のために、在日ブラジル人の数は減少しており、現在約21万人とされています。日系二世については高齢化が目立ち、現在の就労者は三世の方々が中心となっています。多くの方は永住ビザを取得し、帰化によって日本国籍を取得している方も増えています。
CIATEとして現在懸念しているのは日系二世、三世に代わる四世の方々へのビザの件です。2018年に条件が設定され、年間4000人の枠が設けられましたが、7年経過した現在でも実際に入国できた四世は200人に満たない状況です。しかも、大部分は三世の親に連れられて訪日し、日本で教育を受けた人々です。ブラジルにおける日系社会としては、母国日本との文化的な連携を保つためにも、可能な限り多くの人々に訪日してほしいと願っています。しかし、観光者や留学生の数は限られており、就労は日本社会をよりよく知るための有力な手段です。CIATEは過去数年にわたって日本政府に対して条件緩和を申請してきましたが、本年3月のルーラ大統領訪日における両国首脳の共同声明において両国政府が四世のビザ問題の解決に尽力する旨が謳われたことは特筆に値する出来事でした。
33年間にわたって活動してきたCIATEは、日伯両政府公認の非営利団体として今後も訪日を目指す日系人のために微力ながら、業務を追行していく所存です。