アマゾンの伝統的木工技術を紹介するプロジェクトがBIE コスモス賞の最終候補に

EXPO 2025大阪・関西万博では、BIE コスモス賞の最終候補に選ばれた「自然と人間との共生」に関連するプロジェクトを紹介するパネルを展示しています。

ブラジル貿易投資振興庁(ApexBrasil)が運営するブラジル館の前には、BIE コスモス賞の最終候補に選ばれた10のプロジェクトを紹介するパネルが展示されています。本賞は、万博のメインテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」に関連する分野で活動する、非営利かつ革新的なプロジェクトを支援することを目的としています。最終候補の一つであるブラジル・アマゾンの「パラス・プロジェクト」では、伝統的な木工技術を受け継ぐ職人とデザイナーが協力し、家具づくりに取り組んでいます。木工職人たちは、祖先から伝わる藁編みやマタ・ジュンタ施工(木材仕上げの手法)、木材でつくられたカケアード装飾品などの技術を活かし、特徴的な住居づくりを行っています。

パラ州ベレン市の建築事務所グア(Guá)は、2021年からアマゾンで調査を行い、口承で受け継がれてきたため消滅の危機にある木工技術の記録化に取り組んでいます。BIE コスモス賞はApexBrasilによりブラジル国内で広報され、グアはこの技術をより広く知ってもらう好機と考え、応募を決めました。

建築事務所グアは、アマゾンの木工職人たちのエンパワーメント、そしてアマゾン文化の持続と可視化を目指し、家具の協働デザインに取り組んでいます。展示パネルでは、「エジナウドさんのソファ」(エジナウドさんは、代々受け継がれてきた技術を子どもたちに伝承)、「エジソンさんのハンガーラック」、「ジョザさんのテーブル」(ジョザさんは細部にまで気を配り、経験に基づく構造設計で、物理的常識を覆す細い構造の住宅を建築)といった作品が紹介されています。このプロジェクトのため、参加したデザイナーたちはアマゾンのヒベイリーニョ(川沿いで伝統的な暮らしを営む人々)の生活に深く入り込み、木工の師匠たちと共に、アマゾンらしい家具を制作しました。「アマゾンの木工技術は、世界のどの木工とも異なるものです」と語るのは、建築事務所グアをパブロ・ド・ヴァーレ氏と共同で経営するルイス・ゲデス氏です。

グア建築事務所によると、アマゾンで合法的に伐採された木材のおよそ30パーセントが業者により廃棄されているといいます。本プロジェクトは、ブラジルの地域文化の豊かさを尊重するとともに、ヒベイリーニョ建築への関心を高める「マニフェスト」としての意味をもっています。プロジェクトで制作された家具は、すでに国内の大手家具店で展示されるなど、成果が表れ始めています。

本プロジェクトには、ビジュアルアーティストのJ.ボッゴ氏、建築家のガブリエル・コガン氏、写真家のクラーラ・フィゲイレード氏が協力しています。

BIE コスモス賞は、博覧会国際事務局(BIE)と公益財団法人国際花と緑の博覧会記念協会が共同で創設した賞です。2008年のサラゴサ万博以来、万博のテーマに関連する分野で活動する市民や団体を表彰し、選定されたプロジェクトには、その活動を発展させるための賞金が授与されます。

BIE コスモス賞の最終候補には、ブラジルの「パラス・プロジェクト」以外に、ギニア、マダガスカル、チリ、コロンビア(2件)、コートジボワール、ガーナ、アルジェリア、そしてアメリカのプロジェクトが選ばれています。

 

写真:ApexBrasil

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